
ことしのノーベル化学賞の受賞者に選ばれた京都大学理事の北川進さん(74)が8日夜、NHKの取材に応じ、自身の開発した材料について「地球環境を守ることに使っていきたい」などと述べ、今後、さらに研究が発展していくことを期待していました。
京都大学理事の北川さんは「多孔性金属錯体」と呼ばれる極めて小さな穴を多く持った材料を開発し、新たな分野を確立したとして、海外のほかの2人の研究者とともに、ことしのノーベル化学賞の受賞者に選ばれました。
発表を受けて8日夜、大学で記者会見が開かれ、北川さんは「非常に感激しているし、一緒に進めてきた皆さんに感謝を申し上げたい」とあいさつしました。
今回の受賞理由となった北川さんが開発した材料は、二酸化炭素を吸収する装置などとしてすでに実用化されているものもあります。
これについて、北川さんは8日夜、NHKの単独インタビューの中で「扱いづらい『気体』を自由に扱える材料だと思っている」と述べた上で、「空気は小さな資源のない国にも等しく分布している。これを使う科学を発展させることが、平和に関わり、地球環境を守る上でも重要だ。この材料をぜひそういうところに使っていきたい」と話していました。
日本からのノーベル賞受賞は去年の日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会に続き2年連続で、個人ではアメリカ国籍を取得した人を含め今月6日に生理学・医学賞の受賞が決まった坂口志文さんに続いて30人目です。
北川さんは9日も京都大学で記者会見に臨む予定です。